iPhoneのメモリコスト、2027年までに最大4倍に AIデータセンター需要が半導体市場を直撃
- 藤崎 翔太
- 4月30日
- 読了時間: 4分

AIインフラ向けの需要急増により、iPhoneのメモリコストが2027年までに部品費全体の45%に達する見通しだ。
AI需要がメモリ市場を塗り替える
FINANCIAL TIMESが報じたところによると、JPモルガンの分析では、iPhoneのメモリコストが2027年までに部品費全体の約45%を占める可能性があり、現在の約10%から大幅に上昇する見通しだ。
AI向けデータセンターが現在、世界で生産されるメモリチップの約70%を消費しているとIDCが推計しており、消費者向けDRAMやNANDフラッシュが深刻な供給不足に陥っている。NvidiaなどのAIインフラ企業が、Samsung・SK Hynix・Micronといったメモリメーカーの供給を消費者向け電子機器メーカーより高値で確保しており、クラウド企業も数十億ドル規模の前払い契約で供給枠を押さえている。
iPhone 18の発売計画にも影響
Appleは年間約2億5000万台のiPhone向けにメモリを調達しており、これまで業界最大級の顧客として価格交渉で優位に立っていたが、現在は他社と供給を奪い合う立場に変わりつつあるという。
この状況はAppleの製品計画にも影響を与えている。iPhone 18シリーズは発売時期を分割する方針が噂されており、下位モデルは2027年春まで延期され、秋にiPhone 18 Proモデルのみ投入される見通し。折り畳み型iPhoneも同時期に発表される見込みだ。
iPhone 18の全モデルが12GBのRAMを搭載するとの見方があり、これはApple Intelligenceや次世代AIアシスタントへの対応を念頭に置いたものとみられる。一方で、コスト増加分を相殺するため、下位モデルでは一部製造プロセスや仕様が削減される可能性も指摘されている。
価格転嫁か、利益率の圧縮か
Appleの対応として選択肢は大きく二つある。消費者向けの価格を維持して利益率の低下を受け入れるか、本体価格を引き上げるかだ。特にインドや中国など現地メーカーと競合する市場では、値上げによるシェア喪失のリスクも大きい。価格改定のシナリオとしては、全モデルを一律100〜150ドル引き上げる案のほか、低ストレージモデルを割高に設定して上位モデルへの誘導を図る案が挙がっている。
現時点では、Appleはメモリコストの増加分を吸収し、iPhone 18の価格を据え置く方針とみられている。少なくとも開始価格は現状維持とする見方が有力で、コスト増加分はサービス部門の収益で補う戦略が検討されているという。
MacでのAppleの優位性
メモリ不足はMacにも影響を及ぼしている。報道によると、512GBのRAMを搭載した最上位Mac Studioの生産が終了を余儀なくされたほか、Mac ProもRAM危機と無関係ではないとみられており、16GBのMac miniも在庫不足が続いている。
一方で、Appleは2026年3月に599ドルのMacBook Neoを投入した。同製品はApple Siliconの統合メモリアーキテクチャにより、8GBのRAMで競合PCの2倍相当の実効パフォーマンスを発揮できると評価されており、他社がメモリコスト高騰を受けて値上げを余儀なくされる中、独自の優位性を示した。Microsoftは一部のSurfaceモデルを最大500ドル値上げしており、Metaもクエストヘッドセットを最大100ドル引き上げた。
「AIコスト」が消費者に転嫁される転換点
今回のメモリ危機の構造的な特徴として、2027年まで解消の見通しが立たないという点が過去の不足局面と異なる点に注目する必要がある。AIインフラへの投資が一時的なブームではなく、継続的な設備需要として定着したことが背景にある。
iPhoneの本体価格が当面据え置かれたとしても、メモリ容量の増加に応じたオプション価格の上昇や、下位モデルのスペック抑制という形で消費者の手元まで影響が及ぶ可能性は否定できない。AppleのAI機能対応と価格戦略のバランスは、2026年秋のiPhone 18発売において最大の焦点の一つとなりそうだ。
(Source:FINANCIAL TIMES)

