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シャープ、SESと衛星通信で基本合意 国内2027年展開へ

  • 執筆者の写真: 藤崎 翔太
    藤崎 翔太
  • 3 日前
  • 読了時間: 4分


シャープは衛星運用大手SESと衛星通信分野での提携に向けて基本合意した。中軌道衛星サービスの日本展開を目指し、2027年のサービス開始を計画している。





シャープ株式会社は2026年6月30日、宇宙ソリューションを手がける大手衛星オペレーターのSES(本社:ルクセンブルク、CEO:Adel Al-Saleh氏)と、衛星通信サービス分野でのパートナーシップ構築に向けて基本合意したと発表した。両社は、SESが提供する中軌道(MEO)衛星通信サービス「O3b mPOWER」の日本国内への展開を目指し、協議を開始する。


提携の概要

SESは複数の衛星軌道を活用した通信サービスを世界規模で展開する事業者であり、メディア配信や航空・海事分野、政府機関、企業向けなど幅広い用途で実績を持つ。同社が運用するO3b mPOWERは大容量・低遅延でセキュアな通信を特徴とし、通信需要が高いエリアに通信容量を重点配分できる点が強みとされる。

シャープ側は、スマートフォン開発で培った通信技術と小型・軽量化のノウハウを生かし、フラットパネルアンテナを搭載した衛星通信ユーザー端末の開発を進めている。一般的なパラボラ型アンテナとは異なり、平面形状で薄型・軽量な設計とすることで、設置性や可搬性を高めているという。端末開発には国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の助成(JPJ012368G50501)が活用されている。

両社は今後、SESの衛星ネットワークとシャープの通信技術・端末を組み合わせ、日本国内での衛星通信サービス提供に向けた検討を進める方針だ。機器販売にとどまらず、システム構築や運用までを含めたサービス展開を目指すとしている。


想定される活用分野

海上や山間部など、セルラー通信を含む地上ネットワークでは安定した通信の確保が難しいエリアでの産業利用が想定されている。具体的には、遠隔地の設備や重機の通信接続、無人車両の運行管理などへの活用が検討課題に挙がっている。

なお、当日開催された事業説明会の内容を伝えた複数の報道によると、シャープはBCP(事業継続計画)用途や建設機械、船舶といったB2B市場から事業を立ち上げ、その後はドローンや一般車両など、より広い市場への展開を見込んでいるという。


サービス開始時期と国内展開

報道各社の取材に基づく情報によると、シャープが開発を進める端末は約20センチ四方というコンパクトなサイズを想定しており、2027年のサービス開始を目標としている。これは、非地上系ネットワーク(NTN)を活用して通信エリアを広げる「5G-NTN」規格が2027年に標準化される見通しであることを踏まえたタイミングとされる。

シャープはこの動きを、携帯電話が独自規格から3G・4Gといった世界標準へ移行して普及した経緯になぞらえ、社内では衛星通信分野の普及期の到来を表す呼称を用いているとも伝えられている。中長期的には2035年をめどに、衛星通信事業全体で売上高1000億円規模を目指す方針も示されたという。


両社のコメント

SESのFixed Vertical担当社長であるJean-Philippe Gillet氏は、日本を地上ネットワークにとどまらない高性能通信への需要が高まる重要市場と位置づけ、シャープとの協業を通じてモビリティや産業分野での通信基盤拡張を目指す考えを示した。

シャープ執行役員でCo-COO兼スマートワークプレイスビジネスグループ長を務める小林繁氏は、今回の基本合意を次世代通信環境構築に向けた重要な一歩と説明。場所を問わず利用できる安定した通信環境の整備を、AI活用を軸とした事業方針の実現に不可欠な要素と位置づけた。


スマホで培った技術が衛星通信に展開

今回の基本合意は、シャープが長年蓄積してきたスマートフォン向けアンテナ・小型化技術を、衛星通信という新たな領域に転用する動きとして注目できる。地上の通信網が届きにくいエリアへの対応は、建設・海運・防災といった産業分野で根強いニーズがあり、端末メーカーが回線事業者と組んで「端末からサービスまで」を一括提供する形は、今後の衛星通信ビジネスの一つの型になる可能性がある。2027年の5G-NTN標準化を見据えたタイミング設定も含め、計画通りに進むかどうかが今後の焦点になりそうだ。


シャープが開発を進める衛星通信ユーザー端末の概要

項目

内容

アンテナ形式

フラットパネル型(パラボラ型ではない)

特徴

薄型・軽量、設置性・可搬性に優れる

想定サイズ

約20センチ四方(報道情報)

連携サービス

SES「O3b mPOWER」(中軌道・MEO)

衛星軌道高度

約8,000km(GEOの約36,000kmより低遅延、LEOの2,000km以下より広域カバー)

想定用途

建設機械・船舶・BCP用途など産業分野、将来的にドローンや一般車両も視野

サービス開始目標

2027年(報道情報)

端末開発支援

NICT助成(JPJ012368G50501)


SESウェブサイト:https://www.ses.com/


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