MacBook Airが深刻な品薄 AI向けメモリ争奪が直撃
- 藤崎 翔太
- 5 時間前
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AIデータセンター向けメモリ需要の急増を受け、Appleの主力ノートPC「MacBook Air」の供給が世界的に逼迫し、納期が大幅に延びている。
Bloombergのニュースレター「Power On」で知られるマーク・ガーマン記者によると、AIサーバー向け半導体メモリの需要急増があおりを受け、Appleの看板製品であるMacBook Airの在庫確保が困難になっている。ガーマン記者は日本時間8月2日23時00分(現地時間同日14時00分)配信のPower Onで詳細を伝えた。
品薄の実態
これまでメモリ不足の影響は、比較的販売台数の少ないMac miniやMac Studioで目立っていた。しかし現在は、Appleで最も人気の高いモデルの一つであるMacBook Airでも十分な在庫を確保できない状況に陥っているという。
Apple公式サイトで現在MacBook Airを注文すると、配送は8月後半以降となり、構成によっては9月にずれ込む。小売関係者は、これまで記憶にある限りで最も供給が逼迫していると証言している。Appleが公開した新学期向けの販促資料にも、MacBook Airについて「在庫状況による」との注記が添えられており、通常こうした表記が使われない中間サイクルの製品としては異例の対応となっている。
原因はAI向けメモリの需要急増
背景にあるのは、AIデータセンターで使われる高帯域幅メモリなどの需要が世界的に急増していることだ。メモリメーカーが収益性の高いAI向け製品の生産を優先した結果、一般消費者向けPCに使われるDRAMやSSDの供給網にも影響が広がり、価格が上昇している。
2026年第1四半期のDRAM売上高シェアは、Samsungが38.5%、SK hynixが28.8%、Micronが22.4%で、上位3社で約9割を占める。限られたメーカーがそろってAI向け生産に注力すれば、Appleのような大口顧客であっても調達先を切り替えるだけでは数量を確保しにくい構造になっている。
Appleの対応と背景事情
Appleは6月、DDR5メモリやSSDのコスト上昇を理由に、Mac製品の価格を全般的に100〜400ドル程度引き上げた。それでも品薄は解消されておらず、Appleは中国国内向けの端末について、中国系サプライヤーからのメモリ調達準備を進めているとされる。
品薄の一因には、Appleが今秋のM6モデルへの刷新を控えるMacBook Proの販売を優先し、そちらへ顧客を誘導する狙いもあるとみられる。実際、店頭やオンラインの販促でも、MacBook AirよりベースモデルのMacBook Proが前面に出るようになっている。次期MacBook Airの投入は、当面先になる見通しだ。
価格と納期の推移(日本を含む)
MacBook Airは今年に入り二度の値上げを経ている。3月のM5モデル発表時には、基本ストレージが256GBから512GBに増量される形で価格が引き上げられ、6月には追加の値上げが実施された。日本でもほぼ同時期に価格が改定されている。
地域 | 2026年2月まで | 2026年3月改定後 | 2026年6月改定後 |
米国(13インチ 基本構成) | 999ドル | 1,099ドル | 1,299ドル |
日本(13インチ 基本構成) | 164,800円 | 184,800円 | 224,800円 |
納期については、日本のApple公式サイトでも遅れが出ている。13インチの売れ筋構成(16GBメモリ+512GBストレージ)は8月19日から8月26日発送予定となっており、24GBや32GBメモリを選ぶ構成では、最短でも9月上旬にずれ込む見通しだ。米国でも同様に、注文から2〜6週間の納期がかかっている。
今後の見通し
メモリ不足は短期間で解消する見込みが薄い。新工場が本格的に稼働するのは2027〜2028年ごろとされ、それまでの間、パソコンメーカー各社は限られた供給量をAIサーバー向け需要と分け合う状態が続くとみられる。Appleの経営陣も、業界全体を巻き込むこの供給網の混乱を、数十年に一度規模の異例の事態と位置づけている。
Appleは在庫として保有する部材を積み増しているとの指摘もあるが、開示内容からはメモリ不足への備えかどうかは明確でない。一方でMac事業の売上高は四半期として過去最高を記録しており、旺盛な需要そのものが供給調整をより難しくしている面もある。
値上げでは吸収しきれない構造変化
今回のMacBook Air品薄は、単なる一時的な需給のミスマッチではなく、AI開発競争がもたらす半導体供給網の構造変化を映し出している。これまで消費者向けPC市場は独立した価格形成をしてきたが、AIサーバー向け需要という巨大な買い手が同じ部材市場に参入したことで、パソコンメーカーは価格転嫁だけでは需給を均衡させられなくなりつつある。Appleが値上げと並行して中国系サプライヤーの開拓や生産ラインの優先順位変更に動いているのは、この構造変化が短期では終わらないと見ているからだろう。当面、MacBook Airの購入を検討している場合は、納期に余裕を持たせて早めに注文する対応が現実的といえそうだ。
(Source:Bloomberg)

