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クック氏最後の決算会見、メモリ価格「百年に一度の洪水」

執筆者の写真: 藤崎 翔太
藤崎 翔太
8月4日
読了時間: 5分

Image is for illustrative purposes only.
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アップルのクックCEOは最後の決算会見で、メモリ価格急騰を「百年に一度の洪水」と表現し、供給制約が販売に影響すると説明した。





経済メディアのFortuneによると、アップルのティム・クックCEOは7月30日、CEOとして最後となる決算会見に臨み、メモリ半導体の価格高騰と供給制約について警戒感を示した。同社は今後数カ月、iPhoneやMacの販売がこの影響を受けると説明している。


最後の決算会見でにじませた供給不安

15年間アップルを率いてきたクック氏は、9月にジョン・ターナス氏へCEOの座を引き継ぐ。会見の中で同氏はアップルの将来性について強い期待感を語った一方、現在の事業環境については厳しい見通しを示した。サプライチェーンの柔軟性が乏しく、当面は供給面で厳しい対応を迫られる四半期になるとの認識を明らかにしている。

半導体の調達難は、iPhoneやMac向けの先端プロセッサ確保を難しくしており、業績にも影響を及ぼしている。iPhone事業の売上は主力事業であるにもかかわらず、今四半期の成長率は一桁台後半から10%台半ば程度にとどまる見通しで、直近四半期の22%成長から大きく減速する見込みだ。全社売上高の成長率も9〜10%とアナリスト予想の12%を下回る水準になるとされる。粗利益率についても、直近四半期の48%(関税還付の影響を除く)から低下する見通しが示された。


メモリ価格「百年に一度の洪水」発言の背景

データセンター向けAIインフラの拡大に伴い、メモリ半導体の需要が急増し、供給不足と価格高騰を招いている。アップルは6月、MacとiPadの価格をメモリコスト上昇を理由に引き上げた。クック氏はこの状況について、40年以上に及ぶ業界経験の中でも使ったことのない表現として、メモリ価格の高騰を「百年に一度の洪水」と表現した。

DRAM市場は事実上、マイクロン、SKハイニックス、サムスン電子の3社が占めている状況について、クック氏は供給元が増えれば供給面、場合によっては価格面でも改善につながるとの見方を示し、あらゆる選択肢を検討していると述べるにとどめた。なお他メディアの報道では、アップルが中国メーカー製DRAMの採用に向けて米政府へ働きかけているとの情報もあるが、この点についてクック氏は会見で明言していない。


業績自体は好調、しかし株価は下落

6月30日締めの直近四半期における売上高は1094億ドルで前年同期比16%増となり、アナリスト予想とほぼ一致した。純利益は298億ドル、1株当たり利益は2.02ドルで、市場予想の1.89ドルを上回った。このうち約11セント分はトランプ政権の関税還付による影響とされる。

好調な決算内容にもかかわらず、発表後の時間外取引でアップル株は一時8%下落し、その後やや持ち直したものの、終値333.85ドルから約6%安い水準で推移した。時価総額4.9兆ドルで世界最大の企業であるアップルの株価は、2026年に入り23%上昇するなど今年のビッグテック銘柄の中でも好調だったが、今回の決算を受けて先行きへの懸念が意識された形だ。

オンデバイスAIとサービス事業への期待

AI関連の取り組みについて質問されたクック氏は、次期Siriを含むAI機能に触れつつ、リクエストの一定割合を端末上で処理するオンデバイス処理に戦略的な価値があるとの考えを示した。プライバシーを重視するユーザー層への訴求力にもつながるとしている。

一方でAI機能の拡充は、iCloudの利用増加を通じてサービス事業の追い風になる可能性があるとも説明した。サービス事業はアップルにとって売上規模で2番目に大きい事業であり、直近四半期の売上高は300億ドルを超えている。


後継CEOターナス氏の姿勢

決算会見には次期CEOのジョン・ターナス氏も同席したが、冒頭の説明や質疑応答への直接対応はしなかった。ただしアナリストの一人が、スペースXやOpenAIなど新興勢力によるAI端末参入の動きを踏まえ、ターナス氏に競争環境への見解を求める場面があった。これに対し同氏は、クック氏の発言を踏襲する形で、アップルには多くの機会があり、自社の計画に注力していく考えを短く述べるにとどめた。


AI特需の余波が消費者向け製品にも及ぶ局面

今回の決算会見が示したのは、好調な業績の裏で進むコスト構造の変化だ。データセンター向けAI投資の拡大がメモリ半導体市場を逼迫させ、スマートフォンやパソコンという消費者向け製品の価格にまで波及している構図がはっきりと見えてきた。アップル自身は巨額の設備投資でAIインフラ競争に参戦しているわけではないが、部材調達という別の経路でAI特需の影響を受けている点は興味深い。クック氏の退任を控えたタイミングでこうした構造的な課題が表面化したことは、次期CEOにとって早い段階での重要な経営課題になりそうだ。


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