Cloudflare、次世代CMS「EmDash」を発表
- 藤崎 翔太

- 11 時間前
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Cloudflareはサーバーレス型CMS「EmDash」を公開。AI連携や分離実行型プラグインなどを特徴とし、従来CMSと異なる設計を採用する。
Cloudflareは、自社ブログにおいて新たなコンテンツ管理システム「EmDash」を発表した。同製品は同社のエッジコンピューティング基盤上で動作するCMSであり、従来のサーバー前提のCMSとは異なるアーキテクチャを採用している。
エッジ基盤で動作するサーバーレスCMS
EmDashはCloudflare Workers上で動作するサーバーレス型CMSである。リクエストごとに実行されるイベント駆動型の構造を採用し、常時稼働するサーバーを前提としない。これにより、トラフィックに応じた自動スケーリングが可能となる。
また、コンテンツ配信はCloudflareのCDNと統合されており、エッジロケーション(ユーザーの近くにあるサーバー拠点)からの配信を前提とした構成となっている。
分離実行による拡張機能の安全性
EmDashでは拡張機能が分離された実行環境で動作する。各機能はV8 isolate(JavaScriptコードを安全に分離して実行する仕組み)上で実行され、システム本体とは独立した権限管理のもとで動作する設計となっている。
従来のCMSでは、拡張機能が同一プロセス内で実行されることが多く、セキュリティリスクや障害影響の範囲が課題とされてきた。EmDashはこの点に対し、実行環境の分離によって影響範囲の限定を図っている。
AI連携を前提としたインターフェース設計
EmDashはAIとの連携を前提とした設計が特徴である。Model Context Protocol(MCP:AIが外部サービスやデータを扱うための共通規格)に対応し、外部のAIエージェントがコンテンツの作成・編集・管理を行うことが可能とされている。
これにより、従来のユーザーインターフェース中心のCMS運用に加え、APIやプロトコル経由での自動化されたコンテンツ運用が想定されている。
TypeScriptとAstroによるモダン構成
バックエンドおよび拡張機能の開発にはTypeScript(JavaScriptを拡張したプログラミング言語)が採用されている。これにより、型安全性を確保しつつ開発効率の向上が図られている。
フロントエンドにはAstro(Webサイトを高速に表示するためのフレームワーク)が採用され、静的サイト生成(SSG)を前提とした構成となっている。ビルド時にHTMLを生成し、エッジから配信することで表示速度の最適化が図られている。
WordPressとのアーキテクチャ比較
従来型CMSの代表例であるWordPressは、PHPとデータベースを中心としたサーバー常駐型の構成を採用している。プラグインやテーマによる拡張性を持つ一方で、セキュリティ対策や運用管理の負荷が課題とされている。
一方、EmDashは以下のような差異を持つ。
実行環境:サーバー常駐型からサーバーレスへ移行
言語:PHPからTypeScriptへ変更
拡張機能:同一実行環境から分離実行へ
配信方式:オリジンサーバー中心からエッジ配信へ
これらの違いにより、インフラ管理やセキュリティ設計の前提が大きく異なる構成となっている。
従来の一般的なCMS | EmDash |
サーバー前提 | サーバーレス |
PHP | TypeScript |
プラグイン危険 | サンドボックス安全 |
人が運用 | AI前提 |
monolith | 分散・エッジ |
動的サイト生成 | 静的サイト生成 |
CMSと実行基盤の統合が示す方向性
EmDashは、従来のCMSが担ってきたコンテンツ管理機能に加え、実行基盤を含めた統合的な設計を採用している。サーバーレスやエッジコンピューティングを前提とした構成により、Webアプリケーション基盤としての性質を併せ持つ点が特徴である。
既存CMSとは異なる技術スタックと運用前提を持つことから、用途や対象ユーザーに応じた使い分けが想定される。


