top of page

【インタビュー】大野コーポレートガバナンス部長に聞く、 PayPay銀行:PayPay連携で「空気のように身近な金融」を実現

  • 執筆者の写真: 藤崎 翔太
    藤崎 翔太
  • 12月12日
  • 読了時間: 7分

経済産業省 石井芳明

「空気のように身近に」がミッション。PayPay連携で銀行事業の成長を加速させ、UI/UXを武器にBS勝負という王道を貫く戦略を聞く。



INDEX








  1. 黎明期から「PayPay」ブランドへの進化:940万口座達成の衝撃


ーー 改めて、前身であるジャパンネット銀行創業の経緯と現在のPayPayグループ内の役割を教えてください。


大野:当行は2000年にジャパンネット銀行として日本初のネット銀行を設立いたしました。その後、2021年4月にPayPay銀行へと商号を変更しております。当時は、まだ直接的な資本関係はありませんでしたが、2024年4月にPayPay株式会社への株式譲渡が完了し、名実ともに「PayPay」グループの一員となりました。


ーー 貴社が掲げるミッションについて教えてください。


大野:ジャパンネット銀行時代から掲げているミッションとして、「金融サービスを空気のように身近に」するサービスの設計をしています。その流れで当行は、2021年4月に「PayPay」の名前を冠した商号変更を実施し、PayPayのユーザーに対して、一番便利でお得な銀行になる為の銀行サービスの提供を推進しています。


ーー 口座数が急伸しているようですが、具体的な数字を示してご説明いただけますか。


大野:大きな成長を遂げています。ジャパンネット銀行の名称であった2021年3月までは、約500万口座数であったのに対し、PayPay銀行に商号変更後の伸び率は非常に高く、最新のデータ(2025年9月時点)では、預金口座は940万口座を突破しております。この成長は、まさに登録ユーザー数が7,100万人を超える(2025年9月時点)「PayPay」とのシナジーで伸びていると確信しています。


2025年4⽉ 預⾦⼝座900万⼝座突破(PayPay銀行株式会社プレスリリース)
2025年4⽉ 預⾦⼝座900万⼝座突破(PayPay銀行株式会社プレスリリース)




  1. PayPayシナジーの核心:「摩擦」のないUI/UXの徹底


ーー その驚異的な成長を支えるPayPayとの連携施策について教えてください。


大野:PayPayとのシナジーとして、PayPay銀行のアプリ内にPayPayの「支払うボタン」を設置しており、銀行残高から直接引き落とすデビットカードのような使い方でPayPayの支払いを可能とする連携を実現しています。また、2022年からPayPay銀行のミニアプリをPayPayアプリ上に展開しており、PayPayアプリ上で銀行取引ができるため、PayPay銀行アプリに戻る必要がないのも大きな施策の一つです。


ーー 口座開設の申し込みは、PayPay経由が増加していますか?


大野:はい。現在、当行の口座開設申し込みの半分以上がPayPay経由になっています。PayPayユーザーで、既にマイナンバー等で本人確認されている方がPayPay経由で申し込みしていただくと、銀行の本人確認のフローを省略することができる為、申し込みは最短1分、口座開設も最短即日で完了いたします。この「PayPayとの連携」と「開設するまでのスピード」こそが当行の競争優位性になっています。


ーー PayPayと親和性の高いUI/UXを重視されているということでしょうか?


大野:はい、他にもPayPay証券との連携による入出金の自動化や、PayPay画面での口座残高表示など、細かい点で、ユーザーの使いやすさを追求しています。大きなポイントの還元という施策ではなく、PayPayグループをご利用頂くお客様が、サービス利用の途中で離脱してしまうような「摩擦」を極力なくす為に、UI/UXの細かい部分を改善することをグループ単位で推進しています。


ree






  1. 革新的なローン商品とブランド戦略の「振り切り」


ーー 国内銀行初というJPKI(マイナンバーによる本人確認)の取り扱い開始など、デジタル戦略の徹底はローン事業にも現れていますか?


大野:ローン事業はカードローン、ビジネスローン、住宅ローンがありますが、住宅ローンでは、2024年6月に銀行として初めてペアローン連生団信の提供を開始いたしました。


ーー ペアローン連生団信の詳細を教えてください。


大野:従来のペアローンでは、一方の方が亡くなると、亡くなった側の残債のみがゼロになり、残された方の残債は残りました。しかし、当社が提供を開始したものは、もし一方の方が亡くなられた場合、残された方の残債も完全にゼロとなる保険です。これはメガバンクを含めても当社が初めてで、住宅価格が高騰する中で、働き手が失われた方のニーズに応えるものです。



(編集部注:ローン事業の拡大) 同行のローン事業は順調に拡大しており、特にカードローンはデジタルバンクでトップクラスの残高を維持。また、住宅ローンは業界最低水準の金利と先進的な保険特約を組み合わせ、成長ドライバーの一つとなっている。


ーー 従来の「ジャパンネット銀行」から「PayPay銀行」へと商号変更をし、ブランドをPayPayに振り切った狙いはどこにありますか?


大野:Yahoo!Japanとの連携もしてきましたが、楽天銀行やauじぶん銀行などが口座数を拡大されていく中で、当行もどのような連携により口座数を拡大するかを検討してきました。その結果として、多くの方が利用し、QRコード決済という日常の決済サービスがベースとなるPayPayとの連携が、当行としてよりシナジー効果が得やすかったとの結論になりました。結果的にPayPayは携帯キャリアである「SoftBank」の契約者数を超える7,100万ユーザーを獲得しています。特定の携帯キャリアの経済圏に絞るのではなく、当行は、日本全国すべての利用者を意識しています。


成長ドライバーの一つとなっている同行のローンサービス(PayPay銀行株式会社 事業概要)
成長ドライバーの一つとなっている同行のローンサービス(PayPay銀行株式会社 事業概要)





  1. B2Bと収益戦略:「BS勝負」を支える革新性


ーー 法人向けの信用保証協会付きローン(通称:マルホ融資)をオンラインで完結できるようにされたのは画期的です。なぜ実現できたのでしょうか?


大野:きっかけはコロナ禍です。マルホ融資を申請する場合、申請をする金融機関に直接出向くことが前提であり、当行のようなデジタルバンクが抱える課題でした。一方で、信用保証協会も「ゼロゼロ融資」が始まり、窓口は膨大な申請量と対面での手続き、また紙の書類でパンク状態になったと聞いています。しかしながら、コロナ禍になり、世の中的にオンラインミーティングが浸透した事、法人領域におけるDXの機運が一気に高まり、信用保証協会に、当行そして忙しい経営者の要望でもあった「ネットからの申請」を理解していただいた事が、実現に至った背景と認識しています。これは、デジタルバンクとして日本初の取り組みであり、お客様のニーズに真摯に向き合った結果です。当行のこのサービスであれば、オンラインで申請が完結できるため、資金需要で日々忙しいPayPayの既存の加盟店など、法人向け口座のステージが変わるだろうと考えています。


ーー 収益構造はどのようなイメージですか?


大野:我々は「BS(バランスシート)の大きさ勝負」という王道の戦い方を考えています。金利のある世界なので、オーソドックスに預金を集めてそれを貸し出し、運用に回していく。サービスのUI/UXを磨き込み、「使いやすいからずっと使おう」と自然にお金を貯めて頂き、それを保証協会付きローンや住宅ローンなどに貸し出していくことで、BSを大きくしていくというのが当行の基本的な戦略です。


ーー 競合としては、他のキャリア系のデジタルバンクではなく、メガバンクを見ているのでしょうか?


大野:メガバンクは意識しています。今は、既存の銀行やネットバンクといった区別では無くなり、「銀行」という枠の中で戦っていくのだろうと思っています。メガバンクで言えば、三井住友銀行のOlive(個人向け)やTrunk(法人向け)など、法人も個人もデジタルの世界での勝負になってきています。


ーー 最後に、今後の戦略として、力を入れている分野はありますか?


大野:今後もUI/UXにこだわるのは継続します。また、最近出したパーソナルローンのように、アプリの画面上でそのお客様に必要な情報を出す「オーダーメイド」を追求していきます。これは、PayPayグループの膨大なデータ量を活用させて頂き、お客様に最適なサービスを、適切なタイミングで提供していくという考えによるものです。

私たちには、日本で初めてネット銀行を作った企業としての責任があると考えています。お客様にとって便利なものを、真摯に向き合って作り続けることが重要であり、最終的には、ユーザーに一番良いサービスを届け続けるというシンプルな循環を徹底した戦略を、今後もUI/UXによって実現していきたいと思います。


PayPay銀行で利用可能な資金調達・支援手段(同行HPより引用)
PayPay銀行で利用可能な資金調達・支援手段(同行HPより引用)




経済産業省 石井芳明

PayPay銀行株式会社

人事総務本部 コーポレートガバナンス部長

大野 達也

新卒で大手銀行に入社し、法人営業・本社勤務を経て、2010年ジャパンネット銀行(現PayPay銀行)に出向。個人・法人事業で商品開発、推進に従事。2023年にコーポレート部門に異動し、社内重要会議体の事務局、当局・株主・広報対応等を担当している。






TAGs


bottom of page