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Apple、ゲーム開発スタジオ「RAC7」を買収

  • 執筆者の写真: 藤崎 翔太
    藤崎 翔太
  • 5月28日
  • 読了時間: 3分

更新日:9月1日



Apple Arcadeで最も人気のあるゲームの1つであるSneaky Sasquatchを開発した2人組のスタジオを買収した




2025年5月、AppleはRAC7を買収した。これはAppleにとって初めてのゲームスタジオの買収であり、同社のゲーム分野への取り組みを強化する動きと見られている。買収後も、RAC7は独立したスタジオとしての運営を続ける予定である。


RAC7は、カナダ・バンクーバーを拠点とするインディーゲーム開発スタジオで、ジェシー・リングローズとジェイソン・エニスの2人によって運営されている。彼らは、Apple Arcadeのローンチタイトルとして登場した『Sneaky Sasquatch(忍び足のサスクワッチ)』で広く知られるようになった。このゲームは、サスクワッチが人間の世界でさまざまな活動を行うというユニークな内容で、2020年にはApple Arcadeの年間最優秀ゲームに選ばれた。


RAC7は、これまでに『Splitter Critters』や『Dark Echo』など、革新的なゲームを開発しており、これらの作品も高い評価を受けている。



ゲームプラットフォーマーによるスタジオ買収


今回のAppleによる買収は小規模なものであるが、ソニーやマイクロソフトといったゲームプラットフォーマーによるゲームスタジオの買収は、近年ますます活発になっている。これは、ゲーム機の販売競争に加え、自社プラットフォーム上でのコンテンツ独占を狙った戦略の一環である。


たとえば、マイクロソフトは2020年に『Fallout』や『The Elder Scrolls』シリーズで知られるZeniMax Media(Bethesda Softworksの親会社)を約75億ドルで買収した。さらに2023年には、アクティビジョン・ブリザードを約690億ドルという業界最大規模で買収した。これにより、『Call of Duty』や『World of Warcraft』、『Candy Crush』などの人気タイトルがマイクロソフトの傘下に入った。


一方、ソニーは2019年に『Spider-Man』シリーズで有名なInsomniac Gamesを買収し、2021年には『Returnal』を開発したHousemarqueを傘下に加えた。これらの買収により、プレイステーション向けの独占タイトルの強化を図っている。


こうした買収が成功しているかどうかについては、一概に評価しづらい面もある。マイクロソフトは買収後の統合に苦戦しており、一部スタジオでは人員削減やプロジェクトの中止といった報道もある。2024年にはTango GameworksやArkane Austinなど、ZeniMax傘下の一部スタジオが閉鎖された。一方で、Game Passの成長や『Starfield』といった注目作のリリースは、プラットフォーム全体の魅力を高めているとも言える。


ソニーの場合は、買収後のスタジオが比較的安定してヒット作を出している傾向があり、Insomniac Gamesは『Ratchet & Clank』や『Spider-Man 2』などで高い評価を受けている。ソニーはスタジオとの連携を長年かけて築いてきたため、統合がスムーズに進んでいる点が強みと言える。


総じて言えば、買収によるスタジオ統合はリスクとリターンの両面をはらんでおり、単に資金力だけでは成功は保証されない。文化や開発体制の違い、経営上の自由度の維持など、多くの要素が絡んでくるため、慎重な運営が求められる。成功している例もある一方で、期待通りに成果が出ていないケースも少なくない。









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