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Cloudflare、AIエージェントに固有IDと決済ウォレットを提供へ

  • 執筆者の写真: 藤崎 翔太
    藤崎 翔太
  • 24 時間前
  • 読了時間: 4分


Cloudflareは、AIエージェントに継続利用可能なIDと制限付き決済機能を与える新サービスを発表した。





Cloudflareは2026年8月4日(米国時間)、AIエージェントが人間や企業の代理として安全にオンライン上で買い物や支払いを行えるようにする新サービス「Cloudflare Wallets」と「cloudflare.pay」を発表した。Cloudflare上で動作するAIエージェントに継続利用可能なIDを付与し、人間が設定した範囲内で安全に決済を行える機能を提供する。


AIエージェント普及に伴う課題

Webサイトを閲覧したりAPIに問い合わせたりして自動で購入手続きを行うAIエージェントは、オンラインビジネスにおいて一般的な存在になりつつある。一方で現在のインターネットは人間の利用を前提に設計されており、AIエージェントが商品購入や無料トライアル登録のためにサイトを訪れても、それが正規の顧客の代理なのか不正なプログラムなのかを企業側が判断する手段がない。従来のボット検出技術は検索エンジンのクローラーを識別するために作られたもので、取引を行うAIエージェントの識別は想定されていなかった。

この結果、企業はアクセスを一律に制限するか、リスクを承知で受け入れるかの二択を迫られており、いずれも大規模な運用には向いていないとCloudflareは説明する。


IDとウォレットの仕組み

新サービスは本人確認と決済という2つの課題を同時に解決する構成になっている。Cloudflareアカウントにはそれぞれ固有のWebアドレスが付与され、継続利用可能なIDとして機能する。このIDを特定のAIエージェントに関連付けることで、リクエストを受け取る企業側はその依頼を誰が承認したのかを確認できるようになる。

決済面では、人間のアカウント所有者が持つ「Account Wallet」が資金を一元管理する中央残高として機能し、ステーブルコインの受け取り・保管・管理を行う。ここから個々のAIエージェントに対して「Virtual Wallet」を割り当てることができ、エージェントはこの範囲内でオンライン上のサービスやリソースを購入する。Virtual Walletには利用上限額、利用を許可する販売者リスト、1回あたりの最大取引額といった制限機能があらかじめ組み込まれている。

項目

Account Wallet

Virtual Wallet

対象

人間のアカウント所有者

個々のAIエージェント

役割

資金を一元管理する中央残高

エージェントが利用する個別残高

主な機能

ステーブルコインの受取・保管・管理

利用上限額、許可販売者リスト、最大取引額の設定

決済処理には、オンライン決済にHTTPのステータスコード「402」を用いる仕組みである「x402」と呼ばれるプロトコルが使われており、決済はステーブルコインで行われる。これを、コンテンツやAPI、MCPツールの利用料を従量課金できる売り手側の仕組み「Monetization Gateway」と組み合わせることで、AIエージェントによる決済を支える買い手・売り手双方の基盤が揃うことになる。

Cloudflare共同創設者兼CEOのマシュー・プリンス氏は、インターネットが人間主導の閲覧からAIエージェント主導の商取引へ変化する中でインフラも進化する必要があるとした上で、「Cloudflareは、AIエージェントを所有する人や組織と結び付けて信頼性や責任の所在を明確にし、実際の商取引を可能にする」と述べている。


提供時期

Cloudflare Walletのハンドル(識別名)予約受付は米国時間8月4日に開始した。資金の入金・出金や「Virtual Wallet」の発行を含むウォレットへの完全なアクセス機能は、今後数か月以内に提供開始予定としている。日本国内での提供時期や対応についての個別の言及は、現時点の発表内容には含まれていない。ハンドル取得や利用開始通知の登録はcloudflare.payのサイトから行える。


業界の動き

Cloudflareはこの分野の基盤整備を段階的に進めてきた経緯がある。2025年9月にはCoinbaseとともにx402関連の推進団体を立ち上げ、自社のAgents SDKやMCPサーバーにx402対応を追加した。同プロトコルは2026年4月にLinux Foundationがホストする方針を示し、7月には運用を開始、CloudflareやStripe、Visa、Mastercard、Google、Amazon Web Services、Circleなど複数の企業が参加団体に名を連ねている。決済に使われるステーブルコインの市場規模は、大手2社の発行分だけで数百億ドル規模に達しているとされる。

同社の最高戦略責任者は、Web上のトラフィックのうち相当割合をボットが占めるようになっているとした上で、こうした状況を踏まえてインターネットの仕組みを見直す必要があるとの見方を示している。

まとめ:ボット対策から取引基盤へという転換点

これまでボットは検出し排除すべき対象として扱われることが多かったが、今回の発表はその位置付けを転換し、AIエージェントを「取引相手として識別し、管理しながら受け入れる」方向への移行を象徴していると言える。IDと決済上限をセットで提供する設計は、企業側にとってAIエージェントの活動を許可しつつリスクを限定できる点で実務上の意味が大きい。一方で、現時点ではハンドルの予約受付が始まった段階にとどまり、資金移動や実際の決済機能は今後数か月先の提供となる。日本を含む各地域での具体的な展開スケジュールは今後の発表を待つ必要がある。



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