OpenAI、商標訴訟を受けて『io』ブランドに関する情報を削除
- 藤崎 翔太
- 6月23日
- 読了時間: 2分

OpenAI は、ジョナサン・アイブが設立した AI ハードウェア企業「io(アイオー)」との提携・買収に関する発表ページや動画から、“io”のブランド名や言及をすべて削除した
OpenAI、「io」の一時削除は商標訴訟が原因か
この対応は、Googleの「X」からスピンオフしたスタートアップ、iyO(アイヨー)が商標侵害を訴えたことによるものだ。iyOはすでに「iyO ONE」という骨伝導や音声制御デバイスを展開しており、「io」と混同される可能性があると主張している。
OpenAIは、「商標訴訟に関する裁判所命令に基づき、一時的に削除した。提携や買収は進行中であり、訴訟には異議申し立てを検討している」と明言した。
背景と詳しい内容
io と OpenAI の提携・買収内容
2025年5月、OpenAIは約65億ドルで io Products を買収し、ジョニー・アイブ氏が率いるチームを統合することを発表した。
同社は、画面に頼らない物理AIデバイス(ウェアラブル/音声操作機器など)を開発する企業として期待されている。
商標紛争の内容
iyOをはじめとする複数の企業が、ioのブランド名が「偶発的に混同を招く」として商標侵害の訴えを起こしている。
これに対しOpenAIは、公式発表および動画を削除・非表示にし、一時的な措置であると説明している。一方でiyO側は、先行している耳装着型デバイス分野での混同を懸念している。
提携/買収の将来に影響はあるのか?
すべての関係者(OpenAIおよびジョニー・アイブ陣営)は、今回の対応は買収や協力の「解消」ではなく、「ブランド名を取り下げる措置」であると強調している。
つまり、提携関係およびプロジェクトは引き続き進行しており、現在は法的な名称整理の段階にあると見なされている。
いずれにせよ、OpenAIとジョナサン・アイブによる次世代AIハードウェアの構想そのものは継続中であり、今回のブランド名削除は法的措置に伴う一時的なものと見られる。一方で、「io」という名称をめぐる訴訟は、単なる偶発的な衝突というより、注目を集める大型プロジェクトに対する戦略的な介入の一環と捉える向きもある。商標という正当な権利を盾にした交渉が、結果として新興企業の経済的価値を高める手段になることもある。法的な正当性とビジネス上の打算、その両方が入り交じる今回の訴訟は、テクノロジー業界における「名前の価値」の重さをあらためて浮き彫りにしている。