ブルー・オリジン、最大6Tbpsの超高速衛星通信「TeraWave」を発表。27年開始へ
- 藤崎 翔太

- 4 日前
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LEOとMEOを組み合わせた5,408機の衛星群により、世界中に上下対称の超高速・低遅延な通信網を法人や政府向けに提供する。
米宇宙企業ブルー・オリジンは2026年1月21日、地球上のあらゆる場所に最大6Tbpsの対称的なデータ通信速度を提供する次世代宇宙ベース・ネットワーク「TeraWave」を発表した。この新ネットワークは、従来の衛星通信では困難だった大規模なデータセンターや政府機関、企業の基幹業務を支えるための「エンタープライズ・グレード」の接続性を実現することを目指している。
5,408機の衛星によるハイブリッド構成
TeraWaveの最大の特徴は、低軌道(LEO)と中軌道(MEO)を組み合わせた独自の多軌道アーキテクチャだ。 合計5,280機のLEO衛星と128機のMEO衛星、計5,408機の衛星が光学リンク(レーザー通信)で相互に接続される。これにより、都市部のハブ拠点から、光ファイバーの敷設が困難な僻地や郊外に至るまで、安定した超高速通信ルートを確保することが可能になる。
対称的な高速通信と高い冗長性
従来の衛星通信サービスの多くは、アップロード速度がダウンロードに比べて大幅に遅い非対称な設計が一般的だった。しかし、TeraWaveは双方向で最大6Tbpsという、光ファイバーに匹敵する「対称的」な通信速度を提供する。 Q/Vバンドを利用したLEOコンステレーションからは各ユーザーに最大144Gbpsの速度を提供し、MEO衛星からの光学リンクは最大6Tbpsのバックボーンを形成する。これにより、急激なトラフィックの増大やインフラ障害時にも、柔軟かつ迅速に拡張できる高い弾力性を備えている。
物理回線を超える「宇宙のメッシュ網」で切れない通信を
TeraWaveは、地上の光ファイバー網の弱点である物理的な切断リスクを、宇宙空間でのレーザー通信によって克服している。5,400機以上の衛星がメッシュ状に相互接続されることで、一部のルートが遮断されても瞬時に別ルートへ迂回できる高い冗長性を確保。また、光ファイバーよりも信号伝達が速い真空の宇宙空間を利用するため、長距離通信における遅延の安定性も地上回線を凌駕する可能性がある。気象影響を受けやすい従来の衛星通信の課題に対しても、LEO(低軌道)とMEO(中軌道)を組み合わせた多層構造により、ミッションクリティカルな業務に耐えうる「切れない」インフラとしての信頼性を追求している。
2027年第4四半期に展開開始
ブルー・オリジンは、TeraWaveの衛星コンステレーションの展開を2027年第4四半期から開始する予定だ。 このネットワークは既存の地上インフラともシームレスに連携できるよう設計されており、専用の地上端末を導入することで、世界中のどこからでも迅速に高容量ネットワークを構築できる。
宇宙インフラが「光ファイバーの代替」になる日
今回の発表により、ブルー・オリジンはSpaceXの「Starlink」のような個人・一般消費者向けではなく、より高度な信頼性と帯域を求める「産業・政府向けインフラ」としての宇宙通信市場に真っ向から勝負を挑む姿勢を鮮明にした。
これまで宇宙からのインターネット接続は「僻地向けの代替手段」というイメージが強かったが、6Tbpsという圧倒的なスペックは、もはや地上の光ファイバー網を補完するだけでなく、グローバルなデータ流通の主軸を宇宙へとシフトさせる可能性を秘めている。2027年の稼働開始後、デジタル・デバイド(情報格差)の解消だけでなく、世界の通信地図が物理的なケーブルから自由になる劇的な変化を期待したい。
(Source: Blue Origin)


